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■原油高騰とOPEC緊急会合
 1バレル=100ドル以上を4ヶ月も経ち、135ドルを約1ヶ月近く経過した。ところが政治家と金融政策担当者らの態度は「懸念を表明する」にとどまっている。具体策といっても効果が出るのは2〜3年先になろうかという呑気な内容が多い。果たして、そんなことで実体経済は原油高に耐えられるのか。

 なぜ呑気なのか─。恐らく金融政策の専門家を気取っている中央銀行や財務省官僚らが「コアCPIが低いままなので心配いらない」と言い続けてきたからではないか。政治家も経済団体もそれを真に受けてきたのではないか。

 インフレ率の指標として、米国のコアCPI(食品・原油を除く)がある。原油価格が100ドルに届いた頃、マーケット関係者の間でついに「コアCPI」ではなく食品・原油を含めた「総合物価指数」に軸をおくべきだという意見が出はじめた。

 物価高指標としてのコアCPIはもともと信頼性が高いとされてきた。金融当局も歴史的にその信頼性は明らかだという見解でコンセンサスが取れていた。しかし1960年代以前は、原油価格1バレル=2ドル以下であった。歴史的に信頼性が認められている─という「歴史的前提」は長期にわたり1バレル=2ドル以下であった時代の経済データに基づいている。

 1970年代以降、原油価格は上昇に転じた。経済活動のグローバル化は大きく加速し、企業活動は行動原理そのものが変わった。企業活動、労働コスト、雇用形態も大きく変わった。金融市場では金融システム、資産規模とも以前とは比較にならない。

 現在、1バレル=135ドル水準。或いは100ドル以上で定着した状態といえよう。世界の政治経済金融のシステムが変化した中で、金融当局が信頼性が高いというコアCPIの「(インフレ指標としての)前提」はどこまで有効なのか。

 1970年代以降の主要国のこれまでのGDP成長率を加味すれば、ここ数年の物価高は適正といいう見解がある。至極当然な視点に見えるが、どの産業も企業としてできる限りの努力(生産拠点の移転、人件費削減など生産コスト削減)を限界まで絞ってきた。もはや以前の怠慢な経営は存在しない。更に絞れる余地はほとんどないのではないか。

 さらにまずい状況は、1990年代以降、多くの企業が「人件費が安いから」という理由で生産拠点を先進国から途上国へ移転した。その途上国で人件費が上がりはじめた。もはや生産拠点の海外移転によるメリットは限定的となっている。

 ついに昨年あたりから原油価格高騰分を加工商品価格へ転嫁する動きが目立ち始めた。小売店、中間業者の企業努力が限界にきた証だ。ここから先、原油価格が高止まりしたり、更に高値をつけてくると全ての加工商品価格に容赦なく転嫁されることになる。まもなく反応が鈍かった「コアCPI」の上昇ペースは、原油価格が40ドル→100ドルの過程よりも一段と速まるのではないか。

 先進国の経済成長率は、今後も年率0〜4%内外。成長率は飽和状態。食品・原油価格も含めた総合物価指数、コアCPIともに上昇ピッチが早まることになれば、先進国経済とて耐えられないのではないか。当然、途上国にとっても一次産品の価格上昇は経済成長への大きな足枷になってくる。

 22日のOPEC緊急会合で効果的な行動計画が打ち出されなければ、原油高止まりとなって、OPECは盟主=サウジ以下中東産油国が目先の私利私欲を優先したと映るだろう。またOPECは国際的な経済協調体制を軽視したと批判されることになるだろう。
 中東産油国は、いまのうちに国際的政策協調に協力する姿勢を見せてなければ、国際社会への仲間入りが当分難しくなるだろう。消費国、産油国ともによいことは一つもない。

 要するに、ジッダ会合は成果を生まずに終わってはいけない。先物市場の枠を越えて、実体経済への影響が恐ろしい。

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23:57, Saturday, Jun 21, 2008 ¦ 固定リンク

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